水道水の身体への影響
>浸透圧とは?
>水道水の影響
日本の水道水は、人の体液より薄いため、水分が皮膚内へ移動しやすい状態となっています。長湯をすると指先がふやけるのはこのためです。
水道水中に含まれている残留塩素は、皮膚が荒れていてバリア機能が低下している場合などは、残留塩素の強力な刺激が皮膚細胞に悪影響を及ぼす可能性があります。その回避方法は、一番風呂を避けることや、入浴剤を入れることが有効とされています。
温泉
>温泉とは?
日本は、狭い国土になんと4つものプレートがせめぎ合い、世界有数の火山国であることなどから、世界に類を見ない温泉大国です。古い書物などにも、人々が温泉を利用していた記録が多く残ります。
身近な温泉ですが、意外と温泉法および鉱泉分析法指針に定める「温泉の定義」については、あまり知られていないようです。
温泉は、昭和23年に制定された「温泉法」により、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、表1の温度又は物質を有するものと定義されています。
※温泉の定義[温泉の保護と利用]-環境省HPより抜粋
温泉の定義[温泉の保護と利用](env.go.jp)
>温泉が効くしくみ
温泉法とは別の「鉱泉分析法指針」では、①温度 ②液性(PH) ③浸透圧 ④含有成分により、細かく分類されます。
温泉水の酸性度が高くなれば、細菌やウィルスなどに対する殺菌効果が期待され、例えばそれらが原因の皮膚疾患などに適用されます。
温泉水のアルカリ度が高くなれば、皮脂や古い角質層、汚れなどを落とす皮膚洗浄効果が期待されます。
>温泉の中のエリート「療養泉」
温泉水1kg中に定められた含有成分が一定以上含まれている場合は、「治療の目的に供しうる」とされ、「遼養泉」と名乗ることができ、現在10種類が定められています。 さらに、それぞれの療養泉に効果が期待される症状(例:腰痛症や神経痛など)は「適応症」と呼ばれています。
>療養泉の種類と特長
日本で一番多い泉質です。1kg中の溶存物質量が1000mg未満だが湧出時の泉温が25℃以上の温泉の総称で、刺激が少なく万人向けの優しい温泉といえます。
単純温泉に次いで多い泉質です。海水成分に似て、入浴後に肌に付いた塩分が汗の蒸発を防ぎ、保温効果が高いことで知られます。
アルカリ性を示すものが多く、皮脂が乳化される石鹸のような効果で、洗い流した後の皮膚表面の滑らか感、湯上り後の清涼感があります。
飲用では「痛風」に効果があるとされています。
傷の治りを早める効果があります。その理由として高い血流改善・保温効果が高いことが挙げられます。保湿効果も強く、指針では「皮膚乾燥症」が適用されています。
飲用では便秘改善に効果があるとされています。
日本の温泉のわずか0.6%しかありません。最大の特徴は、二酸化炭素が皮膚から吸収されて血管壁に作用して血管を広げることによる血流改善効果です。実際の湯温よりも暖かく感じさせる作用を持ち、身体に優しいぬる湯にも寒さを感じずに浸かることができます。
含まれる鉄成分が酸化して「鉄サビ」による赤褐色が特徴で、湧出したばかりの時は透明です。刺激は強めで、皮膚が弱い場合は入浴後に真水で洗い流す必要があります。
日本では多くある泉質です。色は無色か微黄褐色です。酸味があって硫酸・塩酸・ホウ酸などを多く含むため、殺菌力が高く、慢性的な皮膚病に用いられることがあります。一方で皮膚や粘膜への刺激が強く、肌がピリピリとした時などは、入浴後に真水で洗い流す必要があります。適応症に「糖尿病」があります。
火山が元ではない「非火山温泉」に多く、黄色~褐色で、薬のようなヨウ素の臭いが特徴です。
乳白色で卵の腐ったような臭いが特徴です。肌や粘膜への刺激が強く殺菌作用があり、また成分が皮膚から吸収され、血管を拡げる作用も高い温泉です。
「ラジウム泉」「ラドン泉」とも呼ばれます。微量において細胞を刺激し、逆に免疫作用などを活性化作用が期待されます。
入浴剤
>現代の入浴剤の目的・成分バリエーション
現在、「入浴剤」と銘打って市販されるものは、「医薬品医療機器等法(薬機法)」において規制され、有効成分が溶けた浴槽の湯に入浴することにより、温泉効果(身体を温める、痛みを和らげる、など)と清浄効果(汚れを落とす、皮膚の清浄など)が認められているもので、その使用目的や成分などにより「医薬部外品」または「化粧品」の2つに分類されています。
医薬部外品としての入浴剤は、「あせも、荒れ性、肩こり、うちみ、ねんざ、神経痛、しっしん、あせも、痔、冷え性、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、しもやけ」などの効果が認められています。
化粧品としては、表示できる効能・効果は、「皮膚を清浄する」「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚に潤いを与る」などに限定されています。
市販されている入浴剤の成分は厚生労働省の承認許可を必要とするため、市販されているもののほとんどは、無機塩類、生薬類、酵素類、有機酸類、保湿剤、着色剤、香料等が使われています。
主な成分は以下の通りです。
※入浴剤の成分と種類-日本浴用剤工業会のHPより抜粋
入浴剤の成分と種類│日本浴用剤工業会-Japan Bathadditive Industry Association-(jbia.org)
最後に
以上が入浴検定で学んだことを私なりに理解して書き綴ってみました。
正しい入浴方法で一人でも多くの皆様がお風呂で癒されて、明日への活力の一助となることを願っています。
株式会社ハタノ製作所 淺野博士